【朗読】真夜中に聞くまったりゆるい不思議な話
いつもカタリベ朗読館をお聴きいただき、ありがとうございます。
本日公開の最新朗読作品『真夜中に聞くまったりゆるい不思議な話』のご案内です。
【作品紹介】
深夜、ふっと意識が遠のく時間へ贈る5つの物語。
終電を逃した夜に現れる、カワウソが運転する不思議なバス。
眠れない夜だけをそっと導いてくれる、静かな案内人。
好きなものだけに満たされた、朝の来ないワンルーム。
夢の中から「こっちの世界」へ侵入してくる、顔の曖昧な親友。
そして夜明け前の海が、そっと見せる誰かの記憶——。
帰れなくなった心や、すれ違う現実にそっと寄り添う、やさしくて少し不思議な短編オムニバス朗読です。
日付が変わるまでのひとときのお供にどうぞ。
個人的なおすすめの話は「リキッドルーム」です。
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【各話あらすじ】
リキッドルーム
疲れた帰り道、見慣れた路地で見つけた黒い扉。
開けた先は、時計の針が巡るだけで朝が来ない静かなワンルームだった。
部屋には自分が好きな本や映画、音楽が揃い、誰にも追われない優しい時間が流れている。外の世界では時間が進んでいると知りながらも、心地よい停滞に浸る主人公。
しかし、ここで味わうすべてが外の世界で積み重ねた思い出だと気づいたとき、現実へ戻る扉を開ける。
新しく何かを生むために、少しだけ重くて新しい「続き」の日常へ踏み出す物語。
行き先はやさしさのほう
終電を逃した夜、見覚えのないバス停で乗り込んだのは、カワウソが運転する不思議なバスだった。
乗客は動物の頭を持つ人々。「戻らなくていい人が来る場所」へ向かう車内の静けさに安心感を抱き、一度は引き返さない道を選びかける。
けれど、やり残した小さな仕事や大切な約束が心に残っていることを思い出立ち上がる。降車を告げると、乗客たちは温かく見送り、運転手は「また必要なときに」と言い残す。
冷たい夜道に戻った主人公の足取りは、少しだけ軽くなっていた。
眠りのコンシェルジュ
眠れない夜、玄関のインターホンが鳴りドアを開けると、静かな案内人が立っていた。提示されるのは「海の音」「昔の思い出」「誰かに会える」といった様々な眠りの選択肢。波音に包まれ、懐かしい風景を巡る夢から目覚めると、内容は覚えていないものの胸には満たされた感触だけが残る。
「覚えてしまうと現実と比べてしまうから」と語る案内人に導かれるうち、主人公はいつしか自力で眠れるようになっていく。
また眠れぬ夜が来てもあの人がいる。
こっちの世界
夢の中にだけ現れる、昔からの親友。現実には存在しないはずのそいつと夢の中で記憶を積み重ねていた主人公だったが、ある日「一回くらい入れ替わってみないか」と持ちかけられる。冗談だと思っていたものの、夢の中で次第に境界線に近づいてくる親友。恐れを抱いた翌朝、部屋の空気には違和感が漂い、使っていないコップがひとつ増え、スマホには見覚えのないメモが遺されていた。
夢の存在が現実へ侵入し始める不気味さと、あいつが見た世界への好奇心が交錯する心理サスペンス。
海の記憶
夜明け前、足に導かれるように向かった暗い海辺で、波打ち際に座る主人公。寄せては返す波の間で、青白く光る泡が瞬き始める。その光はただの反射ではなく、過去に海に落ちた無数の思い出や感情、忘れられた願いを宿した記憶の粒だった。
海が夜の間に抱え込み、静かに整理していた世界の記憶に触れることで、自分自身の一部を思い出していく。やがて朝の訪れとともに光は深海へと消えていくが、胸の奥には揺るぎない安らぎと静かな記憶が残り続ける。
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