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本日公開の最新朗読作品『8月の終わりに聴きたい不思議な話』のご案内です。

【作品紹介】

夏の終わり、世界の輪郭がすこしだけ滲む。

二度と戻らない記憶を映す「冷やしたラムネ」。逝った人と15分だけ過ごせる「最後の屋台」。影の隙間から滑り込む「何か」。そして、静寂の中に消えた金色に光る蝉……。

夕闇が深まる頃、あなたはどの「あっち側」の記憶に誘われるでしょうか。

ノスタルジーと微かな恐怖が交錯する物語。

今夜、忘れたくない夏の思い出と共に、お聴きください。


【各話あらすじ】

15分間、想う
 祭りの終わりに現れた謎の屋台で、主人公は亡き祖母と「15分だけ」再会する。昔と変わらぬ笑顔で過ごす夢のような時間。別れ際、代金として求められたのはお金ではなく老人の一触だった。家へ帰り、祖母の声を二度と思い出せないことに気づく。それは、愛おしい最後のひとときと引き換えにした静かな代償だった。

影を境に
 「夕方に影を踏まれたら一歩下がれ」という祖母のおまじない。それを破った幼馴染のケンジは、翌日から少しずつ変化していく。味好みの変化、記憶の齟齬、変わってしまった筆跡。外見はケンジのままだが、あの夕暮れの隙間から「向こう側の何か」が入れ替わってしまったのだ。そして今、彼は私の影をじっと見つめている。

古いバス停
 廃線となったはずのバス停に、8月になると現れる青いバス。乗客は昔の服を着た、二度と戻らないはずの人々だった。大人になり、祖父の死後に再び訪れたその場所で、主人公は車窓から微笑む祖父の姿を目撃する。あのバスは遠くへ去った人々がひととき故郷へ帰り、また去っていくための乗り物だったのだ。

蝉時雨の静寂
 小5の夏、林の中で出会った鳴かない金色の不思議な蝉。捕まえようと追い続けて7日目、その蝉は猛烈に振動し、とてつもない破裂音と共に空中で弾け飛んだ。直後、大音量の蝉時雨がピタリと止み、林は10秒間の完璧な静寂に包まれる。図鑑にも載っていないあの存在と一瞬の静寂は、今も深い謎として記憶に残っている。

冷やしたラムネ
 猛暑の日だけに現れる無人のような屋台。そこで冷えたラムネを飲むと、その夜から「一番忘れたくない夏の思い出」の夢を見始める。夢は夜ごとに鮮明さを増し、いつしか現実との落差に心を蝕まれていく。だが「思い出は一つで十分」と語る老人の店へ、人々は吸い寄せられるように翌年も足を運んでしまう。

見送り
 夏になると山あいに灯る、誰も住んでいないはずの謎の光。主人公は幼少期にその光を追いかけるが、届く直前で消えてしまう。二十年後、祖父から明かされたのは、かつて村に帰れなかった者たちを山が迎え、見送っていたという伝承だった。それは追いかけるものではなく、故郷へ還る者だけが見つければいい温かな灯火だった。

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